こんにちは、棚田です。
17才の不登校の女の子が母親と一緒に連れて来られたときのことです。
(セラピスト)
「お母さん、娘さんの悲しそうな目を見て下さい。
彼女の魂の叫び声が聞こえますか?
彼女の目は何歳の子どもの目をしていますか?
おそらく、5、6歳でしょう。
その頃に何がありましたか?」
(母親)
「娘が4歳の時に夫と離婚しました。」
女の子は泣き始めました。
(セラピスト)
「離婚の原因は?」
(母親)
「夫の浮気です。」
(セラピスト)
「娘さんは、お父さんとお母さんが離婚したことが悲しいのでしょう。
お父さんと会えなくなったことが寂しいのだと思いますよ。」
母親は黙っています。
(セラピスト)
「お母さん、娘さんの気持ちを想像してみてください。
娘さんは、お母さんの前でお父さんの話をしたり、
お父さんに対する気持ちを表現するのがとても怖いんです。」
女の子の方を見ると、泣きながら頷いています。
(セラピスト)
「お母さん、娘さんの目を見て、こう言ってあげて下さい。
『お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。
だから、あなたが生まれたのよ。』」
(母親)
「お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。
だから、あなたが生まれたのよ。」
(セラピスト)
「もう一度、もっとゆっくりと、もっと愛情を込めて、娘さんの魂に届くように。」
(母親)
「お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。」
(セラピスト)
「まだ硬いですね。
お母さん、言うときに自分の中に抵抗があるのがわかりますか?
別れた元旦那さんへの怒りです。
でもそれは娘さんには何の関係もないことです。
娘さんはお母さんの怒りを察知して、お母さんの前でお父さんの話ができないんです。」
(セラピスト)
「かつて、娘さんの父親を深く愛していた時のことを思い出してください。
もう一度、
『お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。
だから、あなたが生まれたのよ。』」
(母親)
「お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。
だから、あなたが生まれたのよ。」
女の子はこの言葉を聞いて、母親に抱き付きました。
その様子を見て、母親も娘を抱きしめながら二人で涙を流しました。
(カウンセリングここまで)
すべての子どもは2人の親を必要とします。
すべての子どもは父親と母親の両方の親を自由に愛することを許可されなければなりません。
子どもには、
「なぜ、お父さんとお母さんが別れなければならないのか?」
「なぜ、どちらか一方の親しか愛してはいけないのか?」
「なぜ、もう一方の親を嫌いにならなければならないのか?」
そんな理不尽なことは理解できません。
父親と母親、すべての子どもは2人の親を等しく愛しています。
しかしながら、
不仲な両親によって育てられた子どもは、
しばしば、どちらか一方の親の味方に付くことを強要され、
もう一方の親を愛することを禁止されます。
両親が離婚して母親の側に引き取られた子どもは、
母親の前で父親の話しをすることや、
父親に対する愛を表現するのを恐れるようになります。
なぜなら、
父親を愛することで母親の怒りを買い、
父親のみならず母親までもを失うのを恐れるからです。
その後、
子どもは別れた父親に対する愛を
母親には内緒で秘密にして持ち続けます。
だから、
母親から口から
「お母さんはお父さんをとても愛していたのよ。」
という言葉を聞いた子どもは、
父親と母親の両方の親を同時に愛することを許されて
とても安心するのです。
棚田
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